【Q&A】蓄電池に関する疑問を解決しよう
災害時の緊急電力としての活用が可能という長所から、再度注目を集めている蓄電池ですが、仕組みや補助金など専門的な用語が多くこんがらがってしまいますよね。モバイルバッテリーではないタイプの家庭用蓄電池の導入を考えている方の多くは、エコや節電といった観点から自家発電装置と併用する場合がほとんどかと思いますので、今回は、蓄電池に関する疑問の中でも、自家発電システムと併用可能な家庭用蓄電池に関連するものに絞って基礎の部分から解説いたします。
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蓄電池の仕組み
蓄電池とは、電力を蓄えることができ、繰り返し使える化学電池全てを指します。価格は様々で、kWhの単位で表記されている容量が大きくなるほどに高い値段が付く傾向にあります。産業用蓄電池と家庭用蓄電池の差もこの容量に左右され、一般に15kWhより大きければ産業用、15kWh以下ならば家庭用とされています。
蓄電池の発電した電力を蓄えておくという特徴は、自家発電システムと併用することでより発揮されます。
例えば太陽光発電システムとの併用した場合、発電した電力を蓄えるのですが、現時点で交流電力を蓄える蓄電池は開発されていないため、直流電力のまま蓄電池に貯めていきます。そこで、単機能型蓄電池を導入する際には電力を直流から交流へ変換する役割を担うパワーコンデショナの設置も必要となりますので、設置スペースの確保や予算額には注意しましょう。
Q.どんな蓄電池がベストなの?
A.目的に合わせて選びましょう
家庭用に販売されている蓄電池の形状には、所定のスペースを確保して設置する定置式(据え置き型)と移動式(ポータブル式)の2種類が存在します。両者とも災害等での緊急時での活用が可能ですが、家庭で消費する電力を蓄える目的として適しているのは容量が大きい定置式、持ち運んでスマートフォン等の充電用としての使用が目的ならば移動式と言えます。太陽光システムなどの自家発電装置と組み合わせ使われる蓄電池の多くはリチウムイオン電池式の単機能型あるいはハイブリッド型ですが、ほかにも存在する蓄電池の種類を比較しながら説明しますので、ぜひご参考ください。
●電池としての分類
蓄電池の種類 | 蓄電池鉛 | ニッケル水素電池 | リチウムイオン電池 | NAS電池 |
---|---|---|---|---|
特徴 | 自動車や小型飛行機用等 移動式としての活用が多い |
繰り返し使用可能 水素ガスが発生するため 密閉された空間では使用禁止 乾電池や電子機器の バッテリーとして活用が多い |
最も凡庸性が高い 高速充電が可能 自己放電が少ない 電動工具からラジコンなどの おもちゃに至るまで 活用されている |
体積や質量がコンパクト 常温だと動作しない 大型施設での緊急時の バックアップ電源として 活用されている |
使用サイクル | 約3150回 | 約2000回 | 約4000回 | 約4500回 |
寿命 | 約17年 | 約7年 | 約10年 | 約15年 |
●役割としての分類
蓄電池の種類 | 単機能型 | ハイブリッド型 |
---|---|---|
役割 | 電力を蓄える | 電力を蓄える 直流から交流へ電力を変換する |
長所 | 本体価格が低い | 電力交換で起こる電力消費を軽減 パワーコンディショナが不要 |
Q.蓄電池だけでも設置できる?
A.可能です
自家発電システムの有無にかかわらず、蓄電池のみでも設置は可能です。蓄電池単体の場合、夜間の電気代が低い時間帯に電力を蓄えて日中の消費へまわしての節約ができたり、停電時でのバックアップ電源にしたりとうまく活用すれば蓄電池単体でも充分な働きをしてくれます。
Q.設置するのにいくらかかる?
A.工事費はおよそ30万円前後が相場です。
設置のための費用は工事費のみで20万円~40万円が相場とされています。初期費用はこの工事費に約80万円~170万円の本体代が加わった金額となります。太陽光発電システムやパワーコンデショナも合わせて設置する場合には、それぞれの本体代と工事費も追加されていきますので、予算額でご希望に沿うものでいくつかのメーカーに相見積もりを依頼し、比較して決めることをお勧めいたします。
具体的な設置工事の流れは以下の通りです。
Q.補助金ってもらえるの?
A.申請に間に合えば受給可能です。
蓄電池に関する補助金はざっくりと以下の2つに分けられます。
2020年環境共創イニシアチブ(SII)
「災害時に活用可能な家庭用蓄電システム導入促進事業費補助金」
- ① 公式HPにて公開されている補助対象システムに登録された製品である
各自治体が公募している補助金
(公式HPにて確認が必要)
- ① 補助を受ける自治体の住民基本台帳に記録されている
- ② リチウムイオン電池を利用した蓄電池である
- ③ 蓄電池の容量が1kWh以上である
- ④ 中古品ではない蓄電池である
- ⑤ 税金を滞納していない
- ⑥ S-JET認証や部品登録認証を受けている。
又は、国が補助事業における補助対象システムとしてSIIに登録されている
2020年環境共創イニシアチブの一般公募は追加応募も含めて平成31年度分は2020年7月21日に予算額超過にて受付が終了されていますが、これは東北大震災での蓄電池の活躍から新しく導入された補助金制度ですので来年度以降の予算案可決後に新たに公募が開始される可能性もあるため、蓄電池の設置をお考えの方はぜひ公式HP(https://sii.or.jp/)を一度確認してみてください。
ほかにも、各自治体では予算内の先着順での補助金の一般公募を行っていることが多く、前述した環境共創イニシアチブよりも倍率が低いため受給出来る可能性も高くなっていますし、併用も可能なため、環境共創イニシアチブか自治体の補助金制度のうちどちらか片方へ既に応募している方もぜひお住い地域の公式HPの補助金制度についてのページからご確認ください。補助を受けるためには各自治体や補助制度ごとに明記されている条件をクリアしている必要がありますので、こちらも合わせてご確認ください。以下でSIIが提示している条件とほとんどの自治体で提示されている条件の具体例をまとめましたので、ご参考ください。
Q.メンテナンスは必要?
A.基本的には必要ありません。
蓄電池がリチウムイオン電池のものならば、トラブルが起きない限りメンテナンスは不要な製品がほとんどで、あえて挙げるなら、フィルター部や通風口に溜まるほこりやゴミを掃除する程度で充分です。しかし、蓄電池には寿命とお呼ばれる使用期限があり、その期間はおよそ10年ですので、もしも購入から10年近くかそれ以上が経過している場合には蓄電池の交換、もしくは修理を検討することをお勧めいたします。蓄電池は、スマートフォンのバッテリーのように、劣化するにしたがって最大容量が低下し蓄電可能な電力量が減っていくため、節電や災害時のバックアップ電力として最大限の力を発揮できなくなります。メーカーが保証する期間内ならば専門のスタッフがメンテナンスを行うので、異常があれば購入したメーカーへ問い合わせましょう。
Q.ダブル発電は売電価格が低いって本当?
A.2019年度以降、シングル発電との差はありません。
2018年度まではシングル発電に対し、ダブル発電は環境保護や停電対策からも遠ざかるのに売電での収益が増えることを不公平として、シングル発電とダブル発電では売電価格が1kWhあたり1円以上差が出るよう定められていましたが、2019年度にその差がなくなったため、現在、シングル発電と売電価格は変わりません。
自家発電が出来る装置を同時に利用して
いない、又は1つのみ利用すること。
例:蓄電池+太陽光発電システムを導入する
場合
売電している間は蓄電池を停止し、太陽光発電で発電した電力だけで自家消費を補う